石の死活から見えてくる「コウ」の重要性

終局までの Leela の判定結果を得る

Leela のメニュー『Analyze』『Analysis Window』と『Show Histogram』から,下図に示すような図(終局より2手前の図)が得られます。


白「145」(白石に小さい赤丸が付いた石)の後,黒が C19 ,白が F19 を打ったところで,黒が 30 秒考慮時間を連続 3 回使ってしまい,時間切れによって,対局は白勝ちになりました。コウが絡む死活を検討するためには,ちょうど良いところでした。

「一手パスに近い手」を打たないようにしましょう

左側の「次の一手の棋譜並べ」には棋譜の終局図が表示されています。そこで,手数窓 No. に「72」を入力し,「Jump」ボタンを押すと,下図のようになります。


黒「72」は,「 一手パス(打たないで相手に手番を渡す手)に近い手」です。上図に示すように,その右側の青い丸に打てば,左上隅の黒は中央につながって,後述のような死活問題は生じませんでした。


上図の黒「102」(黒石に小さい赤丸が付いた石)も,「一手パスに近い手」です。ここに打っても,カケ眼なので,死活には関係ありません。上図に示すように,右辺上部で赤く輝いている場所に打てば,後述するような右辺上側の白石との攻め合いに持ち込むことができました。

右下隅の黒は2眼生きをめざす受け方があった

「次の一手の棋譜並べ」で,手数窓 No. に「119」を入力し,「Jump」ボタンを押すと,下図の局面になります。これに対して, Leela の推奨手は,赤く輝いている場所です。黒は,ここに打って,2眼生きをめざすべきでした。実践は,白からコウに持ち込まれて,大損をしました。


左上隅の黒には「コウ生き」があった

下図は,終局図です。黒「146」は,「一手パスに近い手」でした。最初に掲載した図で赤く輝いている場所に打てば,生きがありました( Leela を活用して,どのように打てば生きたのか考えましょう)。

ここでは,終局図の時点でも,「コウ生き」があったことについて解説します。


「次の一手の棋譜並べ」で,手数窓 No. に「147」を入力し,「Jump」ボタンを押します。続いて,下図を参照して,「e19」をクリックします。すると,そこに黒石が置かれます。次に,①「d19」,②「d18」をクリックし,③「t15」をクリックします。さらに,④,⑤ を打ち,⑥「e19」をクリックします。コウ材として,⑦「c2」 を打ったとき ⑧ と取って,⑨ に「f19」につげば生きですが,余得を得ようと ⑩ に打っています。

右上の黒には「白との攻め合い勝ち」があった

右上の黒は,3目中手で取られているように見えます。しかし,下図に示すように,黒「t15」(黒石に小さい赤丸が付いた石)を打った後,Leela の『Analysis Window』に示される候補手をクリックすると,下図のような想定展開図が示されます。
白が ① と右辺を受けると,黒 ② と右上に飛び込んで,以下黒 ⑥ のようにコウになります。白 ⑦ のコウ立てに黒 ⑧ とつないで,右上隅の白石との攻め合いに勝っています。3目中手で取られていた黒石が復活しては大逆転です。
実際は,白 ⑦ のコウ材が小さく,「次の一手の棋譜並べ」の黒「28」の左にツケる手などをコウ立てにすることが考えられ,複雑です。



この棋譜では,右下,左上,右上に「コウ」を含んだ「石の死活」が見られました。初心者にとっては,コウ材の大小が把握できないため,コウをすぐに解消しようとする傾向があります。この碁でも,右下のコウ解消のために,左上の死活問題になってしまいました。コウ材の大小が判断できるように学習しましょう。